2021年4月法話『三業(さんぎょう)と三業(さんごう)』

2021年03月18日

画.阿 貴志子

三業(さんぎょう)と三業(さんごう)

 

三業(さんぎょう)といえば、三つの業種つまり、一つは製造業(生産業)、二つ目はそれを販売する販売業、三つ目はサービス業だろうと自分勝手に推定していた。

 ところが、辞典によると、三業(さんぎょう)とは、料亭、待合、芸者屋(置屋)の三種の営業のことだと説明している。この三業は密接なつながりがあるので、一ヶ所に集まっている。東京でいえば、赤坂、新橋、神楽坂とか向島、浅草などがある。これを花柳界とか花街と言っている。なぜか華やかな印象がある。なぜ花と柳なのか。それは美女の容姿を表わしているからだと言うのだが、正説かどうかは不明。

 いずれにしろ、三業地は下火の傾向にある。男性の遊びの趣味が変わったのか、会社や政治家の会合でも使われなくなったのか。

 そう言えば、待合政治が批判されるようになって久しい。

 ところで、三業(さんぎょう)と読まず三業(さんごう)と読むのが本来の読み方である。となると、意味もちがって仏教語となる。

 私たちの行いを見れば、三つのはたらきにまとめることができる。これを三業(さんごう)と言う。

 身体の動きとしての身業(しんごう)。言語活動としての口業(くごう)、意識、思考、意欲などを司る意業(いごう)。

これを身口意の三業(さんごう)と言っている。

 この三業は、はたらき方によって、安楽を得たり、苦を招いたりする。つまり、自業自得なのだ。

したがって、自己を正していくことが、幸せを得る方法だと言える。 (阿 純孝)



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